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宝石研磨の世界

タイのバンコクで宝石研磨工場、宝石鑑別教室を経営してます。

宝石研磨 技術性のある仕事

宝石研磨の仕事、、、宝石研磨 技術性のある仕事

この数年、NOBU宝石鑑別スクールに個人作家を目指している受講生が沢山やってきます。
マクラメ作家、ハンドメイドアクセサリー作家、ワイヤーアート作家と呼ばれる方たちです。
彫金教室に通って、個人作家としてデビューを夢見る受講生もいます。

若い世代に絶大な人気を得て、有名な個人作家になった受講生や多数のスタッフを雇ってプライベートブランドとして会社経営されている成功者もいます。

私は個人作家を目指す受講生に必ず伝える言葉があります。
「高いレベルの彫金技術と経験を取得して、素人が手を出せないレベルに到達しなさい」

個人作家の多くが短期間で習得できるテクニックのみでデビューしていきます。
中には1週間程度の訓練期間で得たテクニックのみで、個人作家と称して主婦向けにワークショップの教室を開講する方もいます。それらのワークショップで受講した主婦たちが個人作家を夢見てネットビジネスでアクセサリーを販売はじめます。主婦たちは月収8万円(年商110万円未満)を目指して利益設定をするので、プロの卸業者と言えど月商8万円を目指す主婦に価格面で歯が立ちません。

副業元年と言われた2018年、相当人数の主婦層が薄利少売ででネット販売に参入しています。
その先にあるのは、価格破壊と供給過剰、この現状に良い未来はありません。

そんな時代だからこそ、生き残る為には素人が絶対に得れない技術と経験が必要になると確信しています。

プロの職人とは最低3年間の訓練期間が必要で、石留、キャスト、原型等の各工程でそれぞれ10年の経験を経ると一人前のプロになると言われています。もちろん、ジュエリー制作の全行程を、高いレベルでマスターするには一生かかっても不可能とされるほど奥の深い業界です。

宝石バイヤーの世界も同じです。
私はNOBU宝石鑑別スクールで初級、中級、上級のバイヤー育成コースを45時間で教えていますが、私の教えたカリキュラムを完全にマスターし、実践できるようになる為には3年の売り買い経験が必要になると受講生には常々伝えています。

良い仕事を継続すれば、必ず評価される。仕事は必ず来る。
その為に技術と経験を積まなければならない。

しかし、ある受講生から、「その様な考え方は古い昭和の考え方であり、現実に、プロになるほど稼げているように見えない。自己PRがよければ素人の方が稼げる」と言われました。
この指摘は正に正論で、頭を金づちで殴られたような衝撃を受けました。

個人作家で月商200万以上の売り上げをする方がいる一方で、メーカーからの仕事依頼が激減して、月収20万円を稼げないプロの職人が沢山います。御徒町に至っては日本人職人のほとんどが廃業して、韓国人に仕事を奪われていうる状況になっています。

宝石研磨の世界は、山梨県の甲府市に数社、海外では我が社のみで、プロの宝石研磨士として携わっているのは日本人では30名~50名程度です。その多くが60代を超える高齢の職人ばかりです。高いレベルの研磨技術を持ちながら、小ロット低工賃の仕事で事業を何とか維持している方も多いです。

一方で、宝石研磨の個人作家として、技術性の低いテクニックだけで研磨をして販売する方もいます。彼らはSNSを使った自己プロデュース力が長けており、自己制作⇒小売りのスタイルで、利益率や実収入はプロの研磨職人よりはるかに稼いでいます。

もちろん、プロの職人でも自身の技術をSNSで発信して、自己PRしないと、時代に取り残され消え去る時代です。
私もタイの宝石業界で20年活動し、高い技術を持っていながら、時代の波に埋もれ、フェードアウトしていった職人を沢山見てきました。

宝石研磨の世界も10年の経験が必要な世界です。
私の工場には名人的な技術を持つ職人がいます。
彼の芸術的な宝石研磨の技術をご紹介します。

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リカット石はネフライトです。枠にピッタリ合わせて研磨をし、更に全ピース色合わせを色合わせをしなければなりません。

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手作業でひとつひとつ研磨していきます。

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僅かに研磨したら、枠に合わせ、更に僅かに研磨するを繰り返し、微調整しながら一つ一つ研磨していきます。

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途中経過です。大小合わせ15ピースの枠合わせ加工です。このリングで2日~3日の加工時間がかかります。

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ちなみにこのデザインはある英国人デザイナーの作品で1点物のジュエリーです。、ニュージーランド人の結婚指輪としてデザインされたそうです。この夫婦は自分の国の産出の石で結婚指輪を作りたかったようで、石はニュージーランド原産のネフライトの使用が条件でした。クライアントから当工場にリカット用のルースが持ち込こまれ、当社の職人が魂を込めて作り上げました。高い技術と精度で枠合わせをした難易度の高い作品です。
これがプロと言えるとても良い仕事だと思います。

良い仕事をしていれば、プロ同士のB TO Bの世界では必ず評価されます。
英国人デザイナーは染み入るような笑顔で「良い仕事だ」と言ってくれました。

遠い異国のニュージーランドで、幸せそうな花嫁笑顔が浮かびます。
そんな仕事に携われただけで満足です。

良い物を作っていれば高く売れるんだ。
時代の変化があっても、この言葉だけは心の支柱にして、ぶれない生き方をしたいと思います。




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  1. 2019/03/20(水) 10:54:03|
  2. 宝石研磨の仕事
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宝石研磨の難しさ

宝石研磨の仕事、、、、宝石研磨の難しさ

チャロアイトの原石を仕入れました。
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チャロアイトは三大ヒーリングストーンの一つで、パワーストーンの天然石ブレスレットとして人気があります。
一方で、ファセットカット等のルースや18金のリング等に製品化されたチャロアイトはあまり見かけません。

なぜ見かけないかというと、宝石の耐久力に難があり、宝石研磨加工が大変難しいからです。

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購入した原石をソーイング(原石割り)しましたが、原石割りの作業段階で次々と石が割れていきます。
宝石が割れる原因は硬度、靭性、劈開にありますが、チャロアイトは劈開に問題があります。

硬度とは傷つきやすさです。
宝石研磨の世界では、多少硬度が低くても、宝石研磨加工は可能です。しかし、硬度が低ければ面傷が出来やすいので、研磨終了後の保管中に石と石がぶつかる(石ずれ)などの原因により面傷が出来ることがあります

靭性とは衝撃に対しての弱さ、つまり、割れやすさの事です。
靭性の低い商品は、ぶつかった衝撃に大変もろく、石割れの原因になります。
エメラルドは硬度8と鉱物の中では高い方ですが、靭性が低く、簡単に欠けてしまいます。エメラルドの宝石研磨は加工の難易度が高いです。

劈開
宝石はある一定方向に割れやすい性質があり、これを劈開と言います。
ナイフでスパッと切ったような切り口で割れていきます。劈開性の強い石は簡単に割れてしまい、宝石研磨が大変困難です。
この様な石は耐久力に難があり、ファセットカットなどのルースにされることはあまりありません。

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このチャロアイトの原石は、ナイフで切ったような切り口で割れています。劈開が完全な石になります。劈開の割れやすい方向に少しでも力が入ると簡単に割れてしまいます。

一方で劈開の強い石でもテクニックを使えば研磨加工は可能です。
その場合、劈開がどの方向にあるかを観察するのが重要なポイントになります。
割れやすい方向を避けるように加工すると研磨することができます。原石を注意深く観察し、劈開方向に力が入らないように原石を割るのがコツです。

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チャロアイトのファセットカットが完成しました。

200gの原石を購入して、研磨方向を研究しているうちに9割以上割れてしまい、わずが5ピースしか加工する事が出来ませんでした。欠品率が非常に高い石のため、商品化するのが難しそうです。職人を訓練することによって、割れ率を少なくすることは可能ですが、チャロアイトは研磨技術の難しさのわりに、高額宝石としてに売れる石ではありません。対価を伴わない石ですので、この石の商品化はボツにすることにします。

現在、2種類の新しい原石の研磨方法を研究中です。研磨方法が確立すれば、当社に莫大な利益が伴います。
もちろん、加工が難しい石は他社での調達は困難になるので、私のクライアントにとっても競合他社と差別化を図ることができます。独占的に手に入れることができるので、営業上大きな武器になるはずです。

工場にとって大切なことは、クライアントを儲けさせることです。その為に良い石を探し、技術を磨きます。
クライアントにとって魅力的なルースを提供する事、それが優秀な石屋であり、宝石バイヤーなのです。

失敗すると恥ずかしいので、現時点では石名は申し上げられませんが、成功した暁にはクライアント様にご紹介しようと思っています。


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  1. 2018/02/16(金) 15:01:08|
  2. 宝石研磨の仕事
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最近購入した原石の品質評価法

宝石研磨の仕事、、、最近購入した原石の品質評価法

NOBU GEM CUTTING FACTORYは、上代10万円未満のジュエリーに使われるルースを加工する宝石研磨工場です。
基本的には量産物のルースになり、ゴールドジュエリーだけでなく、シルバージュエリー用のルースも加工する為、天然石だけでなく、合成石、天然石の処理石なども取り扱います。合成石や処理石の原石選別は簡単と思われがちですが、大変奥が深い世界で、幅広い知識と経験が必要になります。

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パキスタン産ネフライトの原石です。この原石は購入に半年間の時間をかけました。
当初、相手側は百キロ単位でしか販売しないと譲りませんでした。弊社では10kg程度しか購入できないので、何度も取引ロットを下げてほしいと交渉しました。
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半年間の交渉後、8kgで購入しました。早速工場で原石を割り、中を調べると石割れ、インクルージョンだらけで全く使いものになりません。不透明な原石の為、表面から中を観察することが出来ないのです。原石購入にはこの様な事が頻繁にあるので、初めての取引の時は、購入ロットを極力少なくするよう交渉しなければなりません。ちなみにネフライトはバンコクでは滅多に入荷する事がない原石です。隣国のミャンマーで同じ翡翠の仲間であるジェダイトが安価に大量に入荷するので、あまり需要がないからでしょう。
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こちらはラピスラズリの低品質の石です。
ラピスラズリは白色部のカルサイトが多いほど評価が低くなります。
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こちらが今回購入した白色部が全く無いラピスラズリですです。低品質の原石に比べ、原石価格は10倍になります。この品質は高額な原石の中でも30%程しか含まれない最高品質です。交渉時はロット買い(他の70%も含め購入、セレクションなし)を常に要求されます。今回は経営者がたまたま不在で、タイ人のアルバイトのみだったので、しらばっくれてセレクションで購入しました。経営者は中東系の方で、自己主張が大変強く、セレクションなし、大量ロットでなければ販売しないと主張する場合が多く、交渉するたびに無駄な原石を購入させられるので大変疲れます。今回はとてもラッキーでした。
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こちらはブルーキュービックジルコニアの原石、ブルー系CZだけで20種類近くの色があります。
ブルーCZはスペシャルカラーと呼ばれ、通常のCZに比べ3倍価格が高いです。今回は4種類の原石を購入し、お客様の希望色に合わせてサンプルを作りました。
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こちらは染色+樹脂含浸処理のジェダイトです。
この原石を求めて昨年広州まで行きました。20kg程購入し、その後に調べてみた所、染色クォーツアイトだった事が判明しました。これは私にとっても苦い思い出です。研磨された状態の染色ジェダイトと染色クォーツアイトの鑑別はペンライトの透過光検査だけでも簡単に判別できますが、原石状態になると鑑別の難易度が大変高くなります。今回の染色ジェダイトはバンコクで偶然見つけることが出来ました。

どれほどキャリアを積んでも、原石購入の失敗を繰り返してしまいます。
市場に出回っている70%以上の原石が低品質である事、アフリカ系や中東系、華僑との交渉になり、仕入れ交渉は常に難航を極める事が理由です。昔、インド人から言われ、未だに忘れられない助言があります。『インド人は3倍しかぼったくらない!アフリカ人は100倍だ、だからインド人は良心的だ!』

ドングリの背比べ、、としか思えませんが、以外に的を得た助言でした。

原石取引の仕入れは研磨済のルースに比べ難航を極めます。失敗を何度も繰り返し。経験を積んでゆくしかありません。
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メソートで購入した天然ジェダイトの原石です。
ジェダイトは原石に小さな切込みを入っており、そこから中の状態を想像しながら購入します。実際には原石を切断してみなければ正確な品質はわかりません。価格もバラバラでメソートの宝石市場内でもブローカーによって100倍の価格差があります。大変難易度の高い原石仕入れになります。最近ミャンマー本国でジェダイトの価格が急騰しており、仕入れが難しくなってきました。染色ジェダイトは香港やバンコクでは頻繁に見られますが、メソートで見かける事は全くありませんでした。しかし、最近になって、少量ではありますが染色ジェダイトをメソートで見かけるようになりましたので、今後は大量に混在する可能性もありますので、仕入れ時に注意が必要です。

2月24日~2月28日までバンコクジュエリーショウが開催されます。
アイデアを振り絞って、新作カットを開発しています。
ブースナンバーはLL62色石セクションでNOBU CO LTDです。バンコクショウ来場予定の方は当ブースにもお立ち寄りください。

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  1. 2015/01/25(日) 11:39:24|
  2. 宝石研磨の仕事
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宝石研磨加工について、、バンコクの加工依頼の仕方と一般消費者からの問い合わせ

宝石研磨加工について、、バンコクの加工依頼方法の仕方と一般消費者からの問い合わせ

一般消費者(エンドユーザー)から宝石研磨加工について、弊社にメールで直接問い合わせが頻繁にあります。
インターネットの普及により、消費者と原産地との距離が縮まり、詳しい現地情報も簡単に得られる現在では、エンドユーザーが気軽にバンコクに来て、宝石買い付けや加工依頼をするケースが今後も増えるのでしょう。これは避けられない時代の流れなでしょう。

弊社はエンドユーザーからの加工依頼は一切受け付けておりません
弊社は卸業社専門の下請け工場です。

弊社はバンコクで宝石研磨の加工をする会社で、顧客は御徒町や山梨県甲府市の宝石卸業社様やメーカー様です。下請け工場である以上、顧客の利益を守る為に、加工賃等の情報を一切漏らさない事にしています。これは私の持論ですが、エンドユーザーは小売店で購入すべきであり、小売店にはエンドユーザー向けの上質なサービスとノウハウがあります。エンドユーザーがバンコク等の海外業者に直接依頼するのは発注の数量的にも資格がなく、ビジネスのリスクも多大なためお勧めできません。

小売店やメーカー様からのお問い合わせは丁寧に対応させて頂いております。
弊社はお客様の守秘義務や約束事はしかっかり守り、品質や納期管理に定評がある工場です。
価格もバンコクの相場でご案内しています。
小ロット多品目の受注や細かい対応もしっかりやっています。
メレー材料物や半貴石の特殊カットを得意にしており、上代10万円位までの量産物では競争力のある商品をご案内しています。


会社情報については株NOBUのサイトをクリックしてください。

エンドユーザーにとっては、弊社の様な製造元の下請け工場で依頼すれば、価格も安くできるので魅力があります。今後のネットビジネスでは、エンドユーザーと原産地が直接取引する時代がくるでしょうから、バンコクの業者への加工依頼の仕方と問題点を紹介したいと思います。

①輸出入には最低2万円の経費が掛かる。
バンコクから日本に宝石1個のみ発送する場合、約1万円の送料がかかります。正規輸出の場合、タイの輸出通関業務と日本の通関業務をします。それら通関業務は発送会社に依頼すれば手数料がかかりますが、すべて代行してくれます。日本到着時に通関手数料と消費税及び関税(ジュエリー約5%、ルース無税、)がかかります。その他に外国為替送金の銀行手数料が約5千円かかり、これが輸入経費です。通関業務をしないEMSや郵便の発送も可能ですが、厳密には密輸売買になり、違法扱いになりますので注意してください。

②ミニマムロット
海外業者の場合、1回の発送で500ドル~1000ドル程度の金額が最低ロットになります。大工場に発注する時は最低5千ドルのミニマムロットを指定してくる事があります。個数ではキュービックジルコニア等の合成石は最低1万ピース、アメジストなどの安価な石の場合は最低1000ピース、ルビー等の貴石は100ピース程のミニマムロットを設定する場合が多いです。

③発注の仕方
発注には業者としての最低限の知識が必要になります。
ルースの場合はシェイプ、サイズ、微妙な色相の指定(石によっては原産地指定)や、クラリティー、カットなどです。
相手の事務所に訪問して、対面販売の場合、小売りの様な丁寧な商品説明はないので、模造品や処理石等の商品情報は、仕入れ側が知っていて当然の知識になります。相手は聞かれなければ、余計な説明をする事はありません。

④価格
原産地価格である以上、価格は日本より遥かに安いですが、定価はなく、全て価格交渉制です。
交渉相手はタイ人、インド人、中国人、ユダヤ人、中東系やアフリカ人等、様々な民族との交渉になり、非常にタフな交渉をしなければなりません。以前、ある日本人が10ct相当のある石でガイ200バーツの石をガイ200ドルと間違って渡してしまったことがあります。渡された方は何と切符の良い客だ、、、と思ったそうです。もちろん、ポーカーフェイスで有難く頂戴したそうです。

⑤品質、納期
このブログで何度か指摘していますが、品質や納期のトラブルは日常茶飯事です。
私自身、外注業者に発注すると、想定外の商品が届く経験を何度となくしています。日本の卸業者は、この様なトラブルを防ぐために優秀な代行業者に依頼したり、弊社の様な日本人経営の工場に頼むのです。これを自分の力のみでやる場合、相当なリスクを覚悟しなければなりません。

⑥日本から原石を送ったり、製品を修理する場合
タイの場合は消費税7%が全商品にかかります。原石は関税が無税ですが、指輪などの製品の場合は30%の製品関税がかかります。100万円の指輪の場合、関税と消費税で37万円の税金がかかるのです。また、1万円以下の低額輸入の場合、タイ通関では1000円前後の消費税はかならずかかるようです。その他にタイ輸入通関の手数料が2000円ほどかかります。輸入が6万円を上回った場合、通関事務所で正規の輸入手続きがあり、大変手間のかかる書類手続きをします。

⑦裏取引
輸出入や運搬方法で、何か裏のやり方があるような議論をする方がいますが、仮にその様なやり方があったとしても、ブログでそんなことは語れません。

以前エンドユーザーの方が原石持参で、宝石研磨加工を依頼する為に弊社を訪問してきました。
原石は日本で購入したそうですが、鉱物として貴重な石が必ず宝石品質になるとは限りません。残念ながら宝石品質としては最低ランクで研磨不可能な品質でした。同じ種類の石でも観賞用鉱物と宝石品質では原石価格が天と地ほどの価格差があります。原石の売買はカット石と比べても難易度が極めて高く、経験、タフな交渉能力、宝石研磨加工の実際などに精通しなければ必ず失敗します。日本では山梨県の甲府市に研磨工場が数社あり、知識と経験の長けた原石バイヤーがいますが、彼らは加工業務に精通しているから出来るのであり、一般的には宝石商で原石売買に精通している方は極めて僅かです。

宝石を欲しいのであれば、宝石店で購入すべきであり、鉱物を欲しいのであれば鉱物店で購入すべきで、両者は全く性質が違う商品と解釈すべきです。

観賞用の原石を購入しても、綺麗にはなりませんので、その後に研磨加工するなどはおすすめしません。
簡単なカボションカットであれば、1日~3日研磨教室に通えば出来るようになりますので、趣味で楽しむには良いかもしれません。

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  1. 2014/07/06(日) 00:06:50|
  2. 宝石研磨の仕事
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トルコ石の原石購入の仕方と品質評価方法

宝石研磨の仕事、、、トルコ石の原石購入の仕方

最近、ブログの更新が滞っております。
日記を書く様な気持ちで始めたブログでも、楽しみにしてくれる読者が数人いる様で、アップデートの催促のメールがありました。わずか数人の読者でも、楽しみにしてくれる方が居るとわかっただけでも嬉しく思います。

最近の私は、ルースの宝石研磨加工と輸出の仕事が大変忙しく、研磨職人さんと毎日残業しており、今週だけでも半貴石の特殊カットの研磨を1500ピースを納期までに仕上げなければなりません。1ロット1500ピースの注文であれば簡単ですが、1ピース~10ピースの小ロット多品目で1500ピースですから大変です。私の頭の中には常に数十件の加工案件を念頭に置きながら、仕入れや工場管理をしています。

更に、NOBU宝石鑑別スクールの講義やJTCやチャトチャックのお店もしています。
開いている深夜の時間帯は、鑑別教室の新しいテキスト作りをしています。この新しいテキストですが、宝石バイヤーになる為の必要な知識やテクニックを全て書き上げており、まさに私の全身全霊を込めて作り上げています。

その様な理由でブログの更新を怠っておりました。

ところで、昨日トルコ石の原石を新たに購入しました。
トルコ石のような不透明石の原石購入は難しいので、原石購入の仕方をお知らせします。

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まず、前提条件として、トルコ石の品質で最も高品質な商品は、上記の写真にあるように色むらやキズがない単一の空青色が最高品質になり、この様な品質を作る為に原石選びから加工まで職人さんの大変な苦労がかかります。

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この様なキズの多い商品は、品質としては最高品質ではありません。

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キズもネット模様(マトリックス)と呼ばれるバランスの良い網目模様になれは品質評価は上がりますが、ただキズがあるだけでは評価は下がります。バランスの良い網目模様は原石の品質に左右され、職人さんの腕のみで綺麗に出来るわけではありません。綺麗な網目模様は原石中1割程度しか出来ません。ネット模様のトルコ石も評価は高いですが、それ以上に色むらやキズの無いない品質は研磨加工が難しく、より高い評価をされます。

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こちらが今回購入した原石で大きさは各3cm程度の大きさです。褐色の色むらが見えますが、内部の状態が同じとは限りません。綺麗な均一の空青色の場合もありますし、傷だらけで使い物にならない品質の場合もあります.内部の品質状態は、原石を割ってみなければわかりません。

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トルコ石のの原石仕入れは、まぐろの仕入れ方法に似ています。まぐろは尾ひれ部分を輪切りにして、僅かな切れ目部分から、大トロ、中トロ等の内部の状態を予測するそうです。トルコ石も僅かに欠けている部分から、内部の色やキズの状態を判断します。すべて過去の買い付け経験から判断します。これは過去に何度も買い付けを失敗して、悔しい思いをしながら、その度に積み重ねてゆく経験やカンが物をいう世界です。

ちなみに原石表面でやや透明感のあるテリは、スタビライザーと呼ばれる安定化処理の痕跡で、この処理をしなければ、トルコ石は全て経年変化で変色してしまいます。特に、中国産やアメリカ産のトルコ石はチョークの様にもろい材質で、この処理をしなければ、研磨加工に耐える事が出来ません。

イラン産のトルコ石は天然の状態で硬度が高く、経年変化もしずらいと聞いていますが、原石価格がとてつもなく高価で、当工場で研磨した事はありません。アリゾナ産の未処理のトルコ石を研磨した事がありますが、硬度がもろく研磨中にどんどん欠けてくるので、職人さんがとても苦労していました。たとえ未処理のトルコ石でも、キズが多く、加工状態も良くない品質では、宝石とは呼べず、希少性があるとは言えません。

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原石を割った断面図です。
所々に黒いキズが確認できます。黒いキズは加工後の品質を低下させますので、良い商品を作る為には、黒いキズや色むらを避けながら加工していきます。この作業がするか否かで宝石の美しさが大きく変わります。空青色単色で色むらの無い均一な色を作る為には、職人さんが大変な技術と神経を使って加工します。手間がかかる分、当然加工賃は高くなります。

職人さんが良い仕事をしてくれた時は、商品は作品になり、芸術になります。

物作りの世界の定説では、良い仕事は『苦労の割にお金にならない、、』と言われています。

私の仕事は良い作品は少しでも高く売る事、技術を安売りしては職人さんに申し訳ないです。

一方で、お客様(卸業者様やメーカー様です)には少しでも良い商品を作って、他社と差別化できる競争力のある商品を作る事!私は物作りの基本を常に忘れないように仕事をしています。

良いものを作れば、私の客さんも自信を持って売りやすいし、エンドユーザーも喜んでくれるはずです。
私はバンコクの小さな研磨工場のオヤジで、ジュエリー制作の世界では表に出ない黒子の存在ですが、全身全霊をもって良い商品を作るよう努力しています。

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こちらは原石の表面を皮むきされた状態です。
この原石は色むらもなく、一級品の原石です。この様な原石は研磨加工も苦労いらずで、作業が楽です。我が精鋭の職人さんはこの様な原石を買って来いと、いつも私に要求してきます。しかし、不透明な石の為、購入後に中の状態を割ったりしてみないと、キズの状態は確認できません。

トルコ石の原石の選び方は、僅かな欠けの部分から、内部の品質を予想する。経験に基づいたカンを磨く必要があります。

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  1. 2014/06/25(水) 23:39:38|
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