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宝石研磨の世界

タイのバンコクで宝石研磨工場、宝石鑑別教室を経営してます。

表面拡散処理サファイアのリカット

宝石研磨の仕事、、、表面拡散処理のリカット

表面拡散処理の研磨依頼が最近増えています。

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不透明なオーストラリア産によく似た表面拡散処理のブルーサファイア オーバルカット 1.5ctサイズをペアシェイプカットにリカットしました。

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リカットする事により表面が明らかに色落ちしています。

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パビリオン側も明らかに色落ちして、白色不透明の元々の色が確認できます

表面拡散処理の鑑別については、以前表面拡散処理の鑑別のエントリーで詳しく述べています。この処理は表面に色付けする処理ですが、染色や表面コーティングとは違い色の永続性があり、通常の使用方法で退色する事はありません。しかし、リカットすると色落ちすると言われています。

以前インド系の会社から表面拡散処理したばかりの石を何度かリカットした事がありますが、第一回目のリカットで色落ちする事はないようです。表面部分でも多少内部まで色が浸透しているのでしょう。研磨後にファセットの稜線部分に色が濃く鮮明に現れるので、それが鑑別の決め手になっていました。
2度目のリカットをすると色落ちが鮮明になり、商品としては全く使い物にならない品質に変貌します。

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以前の表面拡散処理は、透明感のある無色のホワイトサファイアをチタンと一緒に加熱して色付けしていましたが、最近は不透明の白色サファイアを拡散処理してオーストラリア産に似た黒系のブルーサファイアがバンコクで販売されています。手頃な価格で大粒のサファイアが手に入るので、低単価な商品を得意にする欧米バイヤーが大量に買い込んでいるようです。

日本市場は従来からエンドユーザーに本物志向が強く、小売店は処理石の販売を敬遠する傾向があるので、表面拡散処理サファイアはあまり入荷していません。しかし、近年の日本市場では合成石のアクセサリーも受け入れられているので、若い世代を中心に意識が変わってきています。将来は処理石が安価なアクセサリーとして受けいれられる時代が来るのではないでしょうか。

この石の問題点は、不透明な石のため、強い光でも内部が透過せず、通常の表面拡散処理の看破テクニックが使用できない難点があります。但しバンコクでは通常のサファイアより遥かに安い価格で販売されており、ほとんどの業者が正しい処理情報を提供してくれるので、仕入れで問題になる事はあまりないと思います。一方で、メソートやチャンタブリ、ヤンゴン等の原産地により近い仕入れ地帯で現地ブローカーから購入する場合には注意した方がよいでしょう。

リカットの依頼主はインド系の会社ですが、最近はインド人からのリカットの引き合いが増えています。コスト意識の非常に高いインド人が、なぜ弊社に依頼してくるのか非常に不思議です。弊社のカット工賃はバンコクの平均工賃より3割程高いのですが、それでもあえて弊社に依頼してくるのです。

2つの理由が推測されます。

1つ目は近年ローカルの研磨工賃が急上昇したからです。
バンコクは昨年4月に最低賃金が40%も上昇し、更に公共料金やバス等の交通手段、食料品などが軒並み上昇しインフレ傾向になります。また、5年前に比べれば明らかに仕事が少なくなっているので、ローカルの宝石研磨工場は加工賃を引き上げざる得ないのでしょう。

2つ目は弊社の職人の場合、欠品率や紛失率が極端に少ない為です。
ローカルの宝石研磨工場では、優秀な工場でも1割の紛失と3割の品質の欠品があります。品質の欠品はサイズ落ちや研磨不良だけでなく、商品がいつ仕上がるかわからないと言う納期不安もあります。弊社は日本人経営の工場ですので、品質や納期管理に特別なノウハウがあるので、欠品率が3%以下で紛失率1%以下と極端に少ないのです。

安すぎる工賃に釣られると、後で痛い目に合うのが彼らにも浸透してきたのでしょう。

しかし、私の顧客が中国人やインド人なるとは10年前には思ってもみませんでした。
やはり宝石はバブルのある地域で爆発的に売れるのでしょう。中国の小売市場に多少の陰りが見え始めていますので、今後はアセアンが重要な小売市場になるのかもしれません。


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  1. 2013/09/21(土) 23:16:42|
  2. 宝石研磨の仕事
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