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宝石研磨の世界

タイのバンコクで宝石研磨工場、宝石鑑別教室を経営してます。

ダイアモンドとカラーストーンのカットの違い

宝石研磨の仕事、、、ダイアモンドとカラーストーンのカットの違い

宝石研磨ではダイアモンドは輝きを重視し、カラーストーンは色を重視して加工されます。

宝石のプロポーションにおいて、もっとも重要なポイントはパビリオンの深さです。パビリオンとは宝石の下部(ガードルからキューレットまで)のことを言います。石留め職人曰く、石留めの際に最も重要なポイントはパビリオンで、パビリオンの形が悪いもの、厚みがあり過ぎる商品は、綺麗に石留めをするのは難しく、パビリオンは薄めで、ブリリアントカットの様に形の良い商品の方がジュエリーの美しさが際立つと言います。但し、石留め職人は製品の美しさ、ジュエリー全体のバランスから意見をしていますので、ルースのみの美しさについて述べているわけではありません。

石留め職人と宝石研磨職人のパビリオンの深さの考え方については大きく異なる為、今回は宝石研磨職人の考え方であるもっとも美しいルースを作る為のパビリオンの深さについて考察してみたいと思います。

まずは下記のダイアモンドのブリリアントカットの画像を見てください。

Pavillion 6
パビリオン部が薄いと光が抜ける為、スケ石(フィッシュアイ)と呼ばれる色抜け状態にな有ります。またパビリオン部が厚すぎるとゴロ石(ダークセンター)と呼ばれる中央部に黒い影が出来てしまいます。いずれもカットプロポーションの悪さによっって起こる現象です。

pavilion5.jpg
ラウンドブリリアントカットには、キューレット付近の中央部に丸い影が出来る特徴があります。この丸い影の大きさを観察するとパビリオンの深さ(石の直径に対しパビリオンが何%あるか)がわかります。ダイアモンドの輝きを最大にするパビリオンの深さは42%~44%と言われており、上記の画像にあるようにテーブル面に対し丸い影が3分の一程度の大きさが理想とされています。

ラウンドブリリアントカットは輝きを最大限に生かすためのカットですが、このカットの欠点としてこの丸い影が出来ます。

カラーストーンの場合は輝きよりも色の良さがより重要なため、この丸い影は品質を低下させる一因になるのです。したがって、ブリリアントカットよりも違うタイプのラウンドカットで加工する事が多いのです。

pavillion1.jpg
このカットはコランダムでよく使われるミクストカット(海外ではステップカットあるいはコランダムのノーマルカット)と呼ばれています。パビリオン側を若干膨らみを持たせることにより、色を最大限に引き出しています。宝石としては美しいカットなのですが、欠点として石留め加工がやりずらいので、石留め職人にはあまり評判がよくありません。

citrine-532c.png
コランダム以外の半貴石によく見られるノーマルカット(海外ではラウンドフラワーカットと呼ばれています)のパビリオン側の画像です。このカットは研磨が他のカットに比べ簡単なため、量産性も高く、石留め職人から加工がしやすいと評判が高いカットです。ミクストカット同様にパビリオン面を若干膨らみを持たせて研磨しているので、色を最大限に引き出しています。カラーストーンの中でもっとも多く研磨されているカットです。

Pavillion4.jpg
理想的なパビリオンの深さなので、中央部まで平均的に色があり、理想的なカット

pabillion3.jpg
パビリオン部が薄く、中央部が色抜けしているスケ石、色抜けする事をウィンドウと言う事もあります。

pavillion2.jpg
パビリオン部が厚く、中央部が影となっているゴロ石

宝石によって屈折率が異なる為、屈折率を考慮しながらパビリオンの厚みを石ごとに変化させるのが理想的な宝石研磨の加工になります。屈折率の高い石はパビリオンを低めに、屈折率の低い石はパビリオンを厚めに加工するのがポイントです。しかし、アメジスト等の屈折率が低い宝石は、パビリオンの厚みをかなり取らないと理想的なカットプロポーションにならない欠点があります。ジュエリー全体のバランスを考えると、厚みのあり過ぎる宝石はジュエリーとして不恰好になりますので、あまり良い事とは言えません。

私の工場ではお客様の希望によって厚みを変えて加工しています。お客様はジュエリー全体の美しさのバランスを考えて、普通~薄めのパビリオンで加工依頼する方が圧倒的です。特に量産タイプの商品の場合は、製品の美しさや石留め加工のしやすさを優先する傾向があります。しかし、高額商品の場合は、ウィンドウによる色抜けを嫌う傾向にある為、石の美しさが優先されます。

弊社の様な下請け工場はお客様の希望通りの商品を作るのが良い工場ですので、加工依頼の通りに作りますが、ブリリアントカットの依頼が来た場合には、カラーストーン(ルビーサファイアは屈折率が高いので除く)には向かないカットですのでノーマルカットをお勧めしますとアドバイスしています。


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  1. 2013/11/25(月) 11:09:30|
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