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宝石研磨の世界

タイのバンコクで宝石研磨工場、宝石鑑別教室を経営してます。

最近の日本の宝石業界でどうしても我慢のできない事

宝石鑑別教室、、、最近の日本の宝石業界でどうしても我慢のできない事

ヤフーの検索サイトでレアストーン 宝石と検索すると162000件のヒットがあります。

その中には見識も経験も長けた宝石商の書いた良心的なサイトもありますが、大半のサイトは宝石の品質評価を知らない方が商売目的でレアストーンを多用しているように感じます。この様なサイトの多くは『天然石ビーズ、高品質レアストーン』の類の記載方法をしているようです。

私はアクセサリーも物品販売である以上、わかり易いキャッチコピーや、多少誇大な営業トークも必要であり、正当な営業活動であると思っています。162000件もヒットするネット業界の中で、各販売店が少しでも販路を広げ、実売に結び付ける努力を最大限している事も理解しており、彼らの営業活動に水を差すような意見をする事は、偽善者のする事と同じ事であると思います。

一方で、宝石商を自認する私としては、この様な最近の風潮は、どうしても我慢できない事です。
1万円以下のアクセサリーと、30万円の宝飾品、100万円以上の宝飾品とは、絶対に同じ土俵で語ってはならない事です。

私が独立して間もない駆け出しの頃、関西で活躍する高級宝飾店の社長が、『希少石とは財産価値があるもので、最低2千万以上するものだ。それを忘れるな!』とご教授頂きました。希少石の金額については宝石商によって感覚の差があり、300万以上を言う人も、1億を超える商品を言う方もいるので、まさに人に寄りけりです。

バブルの頃、ルビー王と呼ばれ、日本の大手宝石商社の社長を多数顧客に持つ、バンコクに在住する著名な日本人宝石ブローカーの大先輩が、10ctの最高級、最高品質のコーンフラワーブルーのサファイア(金額は超高額)を所持しており、私は目を輝かせながら、このサファイアを見ていると、『この商品はお前が扱うのは無理だ、お前では格が低すぎる!』と一刀両断され、パチンとルースケースを閉じられたことがあります。

レアストーンを扱うには、宝石商としての格は必要であり、高額品を扱う者ほど1流の宝石商と言われています。
彼は私に『お前はまだゴミ拾いだ!早く俺のところまで這い上がって来い!』と私への厳しい評価と叱咤激励を受けました。

伝説の宝石商と言われたハーリーウィンストンは、ロット価格が2,450万ドルの大型取引(当時のデ・ビアス社にとって過去最高の取り引き額)を、デビアス社総帥のオッペンハイマーと一対一の交渉をしました。長時間の交渉になると予想されたにもかかわらず、わずか10分で交渉が終わり、オッペンハイマーの言い値の破格な金額で購入したそうです。ハリー・ウィンストンはデビアス社の総帥に「これだけの交渉で、何も”おまけ”はないのか?」。と尋ねたそうです。オッペンハイマーはにやりとして180カラットの原石をポケットから取り出し、テーブルにコロコロと転がしました。ハーリーウィンストンは表情も変えずにその原石をつまみあげ、 「Thank you, 」 と言い、ポケットにしまいました。これで、歴史的なレアストーンの取り引きは終わりました。その後、この原石から45ctのダイアモンドにカットされ、『おまけ』と名付けられて、ニューヨークで販売されたそうです。

宝石商は個性的な人物が多いと言われますが、この2人の取引は、レアストーン取引の有名な話です。

私はバンコクで宝石鑑別スクールを開講しており、普段は受講生に宝石とは何か、、、について偉そうに講釈を垂れています。私は受講生に希少石について下記の様に講義しています。

鉱物として希少な石は、本当に高価格で取引される石以外に、宝石としての認知度がなく、単にマイナーな宝石に属している場合があり、高価な宝石とは言えない石も多く存在する。一方で、宝石としての希少石の場合、高額宝石を意味しており、 おおよそ20種類のメジャーな宝石の中で、レアサイズ(品質が良くて大きな石)やレアカラー(有名な宝石で滅多に産出しない珍しい色)等が該当する。宝石としてのレアストーンの概念として、知識も経験も長けたベテラン宝石バイヤーが過去に見た事がない石(生涯で1度しか見れないレベルの石)が該当する。

レアストーンとは、手に入らない石の事を言うのであり、1万円以下の天然石ビーズで多用するような言葉ではないのです。

一方で、5万円以下の金製品でも、それに携わるメーカーや職人さん、宝石バイヤーが良い製品を作る為に凄まじい努力しています。彼らは小売り金額に関係なく、全身全霊をもってエンドユーザーが喜んでもらえる商品を作っています。金額の低い製品を低品質と一刀両断しているのではなく、消費者は小売価格に見合った満足度の商品を求めるべきだと言っているのです。

1万円のアクセサリーには1万円の品質と満足度、10万円にはその金額に見合った品質と満足度、100万円以上の高級品には、仕入れの難しい高品質な石と腕の良い職人が作る高級ジュエリーであるべきです。

私も生涯で1度でいいから、レアストーンの取引をしてみたい。
これは、宝石バイヤーにとって夢の仕事なのです。

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  1. 2014/06/29(日) 00:55:47|
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